いつまでも……

10/10
391人が本棚に入れています
本棚に追加
/79ページ
  『もっと傍にいて欲しかった』   『姉ちゃん、それは俺も親父に言った。 でも、長くいると淋しくて向こうに行けなくなるってさ……。 ホントはさ、何度でも俺の身体に入る事も出来るんだ。   でも、親父は旅立ちの時間は5分でいいんだってきかなくてさ。 ほら、親父って頑固じゃん。    お袋? 親父が解った?』    『ええ、解ったわ。あの人ね、私の手を握ると必ず自分の親指で私の手の甲を摩るのよ。あの人の手だった……。和樹ありがとう。ママ幸せよ』     『あのインチキなおばさんなんか呼ばないで、和樹でよかったって事じゃない……ねぇ?』   『うん、まさか俺にこんな事出来るなんて思わなかったよ』   『和樹! あんた降霊やればいいよ! そしてまたパパを呼ぶの』   『つーか、俺、親父の事は見えてなかったし……あ、マロが見えてた』   『じゃ、マロとコンビ組んで! どう?』       公園では3人のお喋りと笑い声がいつまでも聞こえていた。     秋の匂いのする日曜日。    
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!