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『もっと傍にいて欲しかった』
『姉ちゃん、それは俺も親父に言った。
でも、長くいると淋しくて向こうに行けなくなるってさ……。
ホントはさ、何度でも俺の身体に入る事も出来るんだ。
でも、親父は旅立ちの時間は5分でいいんだってきかなくてさ。
ほら、親父って頑固じゃん。
お袋? 親父が解った?』
『ええ、解ったわ。あの人ね、私の手を握ると必ず自分の親指で私の手の甲を摩るのよ。あの人の手だった……。和樹ありがとう。ママ幸せよ』
『あのインチキなおばさんなんか呼ばないで、和樹でよかったって事じゃない……ねぇ?』
『うん、まさか俺にこんな事出来るなんて思わなかったよ』
『和樹! あんた降霊やればいいよ! そしてまたパパを呼ぶの』
『つーか、俺、親父の事は見えてなかったし……あ、マロが見えてた』
『じゃ、マロとコンビ組んで! どう?』
公園では3人のお喋りと笑い声がいつまでも聞こえていた。
秋の匂いのする日曜日。
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