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アレが気になってしまってどうしようもないんだよ。
何処にやったのか……。
一度気になり出したら、居ても立ってもいられない。
この性格はどうにもならんな……。
俺は特等席に座って溜め息をひとつ落とした。
マロがジッと見ている。
すまんなマロ。
さっき別れの挨拶をしたのに、また戻ってきてしまった。
何処だったかな……。
『ただいま~、マロ淋しかった~?』
『やっぱ帰りは姉ちゃんに運転してもらえば良かった。疲れたぁ』
みんなが帰ってきたか。
ニャーン。
『ん? マロ? 何見て……えっ? まさか……親父じゃないよねぇ』
(シッ! 俺だ……)
俺は息子の肩に触れて囁いた。
(なんで居るの? 行ったんじゃなかったのかよ?)
(実はな、弘美と初めてデートした時に、落ち葉で作ってくれた栞をどの本に挟めたのか思い出せなくて……。
悪いな和樹、探してくれないか?
見つかったらすぐに向こうに行くから。
この事は弘美達に内緒だぞ……カッコ悪いから)
(親父……もう、いつまでも此処に居ろよ!)
(それは出来ない)
ニャーン。
マロは俺と息子のやり取りを見て一声鳴いた。
『しぃーっ!』
(シッ!)
俺と息子は同時にマロに声を掛けた。
「やれやれ」と言ったかどうか……。
マロは俺の特等席で丸くなった。
ここにいるよ
《FIN》
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