オトナの童話

寂しがりやの狼

その日狼の家のドアが叩かれることはありませんでした。

狼は来てくれなかったキツネのことを考えると無償に悲しくなりました。

その日は悲しみを紛らわす為に早く寝ることにしました。

次の日もキツネは現れませんでした。

しびれを切らした狼は、キツネの家へと出かけました。

しかし、いくらノックをしても返事がありませんでした。

キツネは俺のことなんて忘れてしまったのか。

狼は昔の孤独な狼に戻りました。

ふと頬を伝う何かに狼が気付きました。

涙でした。