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それでも村人の中には良尚を慕わない者はいない。その明るい性格とまるで女子のようにかわいらしい屈託のない笑顔は誰もを笑顔に変えた。
「松吉(まつきち)」
良尚が作業を続ける手を止めずに、すぐ隣で同じ作業をしている松吉に声をかけてきた。
「間に合わなかったよ、すまない」
松吉は一瞬、この若様がまた農作業中に何かヘマをしたのではないかと思った。が、良尚の暗い横顔を見やり、すぐにそれが先日の隣村のことだと察した。
「若様のせいではないさ」
「子供一人しか助けられなかった」
松吉は返す言葉を見つけられなかった。
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