プロローグ

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   赤い――。    どこを見ても、赤い。        今、自分はその“赤”に囲まれている。  家も、村も、何もかも、あっという間に、“赤”に食い尽くされてしまった。  さっきまで聞こえていた隣の家のお姉ちゃんの泣き叫ぶ声も、夕方まで一緒に遊んでいた友達の助けを呼ぶ声も、あっという間に“赤”の餌食になった。    もう、誰もいない。  何もない。
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