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(……本当に、あの藤乃が……姉上を裏切っていたのかな……)
公雅が、腕を組んで思い悩み始めた時、にわかに屋敷の外が騒がしくなった。
はっとした公雅は、すぐさま、きびすを返す。
(父上が帰ってきたに違いない!)
もっと詳しいことが父から聞きたい。
何かが引っかかる。
大股で廊下を歩きながら、建物の外へと出た。
すると、すぐに、門のところにいる父の姿が目に入る。
(……え!?)
公雅は、自然と駆け足になりながら、だんだんと大きくなる父に視線を送り続けた。
だが、そこには、馬にまたがった父の姿と、明らかに狼狽えている馬番しかいない。
馬番は、父が敷地内に姿を見せた直後に駆け寄ったのだから、つまり、父がたった一人で戻ってきたことになる。
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