3093人が本棚に入れています
本棚に追加
/466ページ
しかし、やはり様子がおかしい。
(まさか……!)
公雅の全身をざわざわとした悪寒がかけ上がった。
何かあったのだろうか。
天下一、気丈な父が心を壊すような、衝撃的なできごと、──愛娘の死──のような!
(姉上が死んだなんて、そんなことあってたまるかっ!)
「あ、姉上は!? 一緒ではないのですか!?」
公雅は声を荒げながら、すばやく姉の姿を探した。
そして、はっとなる。
騎乗している良兼の背後に、何者かの下半身が見えたからだ。
「……姉上!?」
弾かれたように、公雅がその人物を馬から引き降ろして、息を呑んだ。見覚えのある顔だ。
すぐに、姉の背後にいつも控えていた男だという考えにいきつく。
「これは……姉上の……」
最初のコメントを投稿しよう!