17 風にのせて(後編)

16/68
3093人が本棚に入れています
本棚に追加
/466ページ
 ぐったりとしたその男は、かろうじて息をしていた。  なぜ、姉の共が一人で!?  しかも、瀕死の状態で! 「おい、姉上はどうしたのだ!! おい、しっかりいたせっ!!」  力任せに公雅は男をゆすった が、完全に意識を手放しているため反応が無い。  すると、頭上から父のかすれた声が振ってきた。 「手当てをしてやれ」  それだけ言うと、良兼は馬を引き返した。再び、ゆっくりと屋敷を出て行こうとする。 「父上!?」  公雅はあわてて、父の背中に声をかけたが、父は見向きもしない。 「お、おまちください!! お一人では危険です! であええーー!! 急ぎ、父上の供をせよーーっ!! であえ、であえ!!」  夜盗が逃走したと騒がれている中、父を一人で行かせるわけにはいかない。
/466ページ

最初のコメントを投稿しよう!