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ぐったりとしたその男は、かろうじて息をしていた。
なぜ、姉の共が一人で!?
しかも、瀕死の状態で!
「おい、姉上はどうしたのだ!! おい、しっかりいたせっ!!」
力任せに公雅は男をゆすった が、完全に意識を手放しているため反応が無い。
すると、頭上から父のかすれた声が振ってきた。
「手当てをしてやれ」
それだけ言うと、良兼は馬を引き返した。再び、ゆっくりと屋敷を出て行こうとする。
「父上!?」
公雅はあわてて、父の背中に声をかけたが、父は見向きもしない。
「お、おまちください!! お一人では危険です! であええーー!! 急ぎ、父上の供をせよーーっ!! であえ、であえ!!」
夜盗が逃走したと騒がれている中、父を一人で行かせるわけにはいかない。
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