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だいたい、今の父は抜け殻のようだ。
いつもの父のように、息子の自分ですら震え上がるような、恐ろしさがない。
そんな父を一人で行かせていいわけがない。
(父上……何があったのですか……)
良兼が振り返ること無く、街道を西へ進んでいく。
間もなく、公雅の呼びかけに答え、屋敷に残っていた兵たちが姿を見せた。すぐに父を追うように、指示を出す。
その様子を見守りながら公雅は胸が詰まる思いがした。
彼には父の背中が寂しげに見えた……。
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