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とはいいつつも内心めちゃくちゃやばい状況になっている。
手からは血は絶え間無く滴り落ちるし、彼女はなぜかまだ包丁を持っているし……。
てか家が近くてよかった。遠かったら俺出血多量で夢の世界へ旅出ってるもの。
「ついたよ、ここさ。ネコミミの彼女」
「……ネコミミ……いうな」
「すいません。どうしてもね……」
あ、刃先をこちらに向けないで! 俺が悪かったから!!
……まぁとにかく中に入ろう。もう手がやばいことになっている。
ドアをなんとか肘で開け、玄関で踵で靴を脱ぐ……のだが、
「あ、こら、土足であがるなよッ!?」
「……どそく……?」
「あ、え~と、その履いてるものを脱ぎなさいってこと」
彼女はこくっと頷き、玄関に座り、靴を脱いだ。
靴を脱ぐことを知らない? どういうことだ? 欧米育ち?
とりあえず彼女が後からついてくるのを確認しながら、まずは台所へと向かった。
この血をどうにかしないと、とりあえず流して…クッキングペーパー巻いときゃ大丈夫か? あ、一応包帯巻いとくか。
ちなみに彼女はというと、冷蔵庫に張り付いている魚型のマグネットをいじっている。
あ、まずは手に持ってるその危ないものを離させないと。普通に人を刺そうと出来るんだ、多分、いや、絶対危ない。
「なぁネコミ……じゃなくてえ~と……名前は?」
「……名前……?…………棗(ナツメ)……」
無口……だな。まぁいい。とりあえずその包丁を離させよう。
「えっと……棗ちゃん? まずその掌に収まってるものをそこに置いて?」
慎重に扱わないとなんか怖いからな。
「…………こくっ……」
彼女は近くのテーブルに包丁を置いた。
よし、ひとまず安心。
「えっと棗ちゃん?……あぁ~、俺、ちゃん付け好きじゃないから呼び捨てでいいか?」
「…………こくっ……」
よし。あ、そうだ、一つ試したいことが。
「……あ、そうだ! 棗ここで服脱げる?」
いや、別に、その……。
「…………こくっ……」
小さく頷くと彼女は来ている衣服に手をかけた。
…………はっ!!
……っとと、無性に見たいけども今はそれが目的じゃない。
いきなりだがこの質問をした理由……そしてその検証結果。
……彼女は反発することをしていない。
そして反応する唯一の言葉、それは『ネコミミ』
今のところこんなもんか。変更があったらまた付け足そう。
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