第二話 猫耳な彼女

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  とはいいつつも内心めちゃくちゃやばい状況になっている。 手からは血は絶え間無く滴り落ちるし、彼女はなぜかまだ包丁を持っているし……。 てか家が近くてよかった。遠かったら俺出血多量で夢の世界へ旅出ってるもの。 「ついたよ、ここさ。ネコミミの彼女」 「……ネコミミ……いうな」 「すいません。どうしてもね……」 あ、刃先をこちらに向けないで! 俺が悪かったから!! ……まぁとにかく中に入ろう。もう手がやばいことになっている。 ドアをなんとか肘で開け、玄関で踵で靴を脱ぐ……のだが、 「あ、こら、土足であがるなよッ!?」 「……どそく……?」 「あ、え~と、その履いてるものを脱ぎなさいってこと」 彼女はこくっと頷き、玄関に座り、靴を脱いだ。 靴を脱ぐことを知らない? どういうことだ? 欧米育ち? とりあえず彼女が後からついてくるのを確認しながら、まずは台所へと向かった。 この血をどうにかしないと、とりあえず流して…クッキングペーパー巻いときゃ大丈夫か? あ、一応包帯巻いとくか。 ちなみに彼女はというと、冷蔵庫に張り付いている魚型のマグネットをいじっている。 あ、まずは手に持ってるその危ないものを離させないと。普通に人を刺そうと出来るんだ、多分、いや、絶対危ない。 「なぁネコミ……じゃなくてえ~と……名前は?」 「……名前……?…………棗(ナツメ)……」 無口……だな。まぁいい。とりあえずその包丁を離させよう。 「えっと……棗ちゃん? まずその掌に収まってるものをそこに置いて?」 慎重に扱わないとなんか怖いからな。 「…………こくっ……」 彼女は近くのテーブルに包丁を置いた。 よし、ひとまず安心。 「えっと棗ちゃん?……あぁ~、俺、ちゃん付け好きじゃないから呼び捨てでいいか?」 「…………こくっ……」 よし。あ、そうだ、一つ試したいことが。 「……あ、そうだ! 棗ここで服脱げる?」 いや、別に、その……。 「…………こくっ……」 小さく頷くと彼女は来ている衣服に手をかけた。 …………はっ!! ……っとと、無性に見たいけども今はそれが目的じゃない。 いきなりだがこの質問をした理由……そしてその検証結果。 ……彼女は反発することをしていない。 そして反応する唯一の言葉、それは『ネコミミ』 今のところこんなもんか。変更があったらまた付け足そう。  
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