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……ってわけで更に十数分が経った。
その間、ずっとベンチに『おすわり』させられていた俺の気持ちを考えてみて下さい。
もう尻が石のように硬くなった気分だぜ、全く。
尻の感覚ないもん。
俺はとりあえず立ち上がり、棗のところへ向かった。
はぁ……だるぃ。ベンチに尻をくっつけているだけでこんなにも疲れるものなのか。
尻様々だな。
「もういいか?さすがに飽きてきたんじゃないのか?」
「……………こくっ…」
あ、戻った。また頷くだけになった。まぁこちらもこちらで彼女らしいからよしとする。
「で?どれなんだ?買いたいのは。上下合わせて二、三着くらいだったら買えるけど?」
「……………………。」
とりあえず一瞬の間が過ぎ、彼女は動き出した。
何て言うか…さ。
俺気付いたんだけどさ。
棗って楽しいときは弾むんだな。
あれだ、歩き方がほんの少し微妙に極少に違うんだ。
とにかく、棗の後についていく俺。
そして道ゆく間に服を手にとる彼女。
はぁ…なんとも器用ですね、はい。まぁ歩くスピードは結構遅いんだけど…。
多分選びに選んで場所を覚えて、それからてきぱきと取っているんじゃないのか?
こいつ…買い物でそんなアビリティー習得したのか。
まぁそれはさておきだ。
数ヶ所で服を選び取ったあと、彼女はちょうどレジの数メートル手前で立ち止まった。
そして体ごと振り返り、俺に歩みを進める。そして服を差し出す。……無言で。
……なんだ?俺に買えと?……まぁいいけどさ。
俺は棗から渡された服をもってレジへと向かった。
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