第六話 買い物と彼女

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棗さん、メニューは一つで充分足りますよ、欲張りする必要は全くござーせん。 「棗~、片方貸してくれや」 「………。…こくっ…」 あ、一瞬の躊躇か?躊躇いか? まぁいいや。彼女はメニューをこちらに渡してきた。 まぁ中の内容は喫茶店らしいものが書いてあるということで。 …お、この店何気にドリンクバーあるし。 …え~と、……うん、もちろんのことドリンクバーを二つ頼むとして、 あと軽食に何を食うかだよな……。 ここはあれでいっとくか?フレンチトースト。家でも作ろうと思えば作れるんだがちょっと面倒な気がしてさ……。 んで、彼女はというと……うん、さっきのことに忠実になぞり、メニューと睨めっこだな。 時間だけが過ぎてゆく。 俺が思うにフレンチトーストも食いたいけれども、実はあんみつも食べたい。 …和風の何が悪いんだ。 ……うん、よし、棗のはあんみつに決定。これ、絶対ですから。 「棗、あんみつなんてどうだ?純和風だぞ、純和風」 「……………………?」 まぁ疑問を浮かべても当たり前なのだろうが、そこは俺、あえてスルーで。 やや一瞬の時が過ぎ、彼女はこちらに顔を向けたまま小さく頷いた。 ………やったね! 一口だけでも二種類の味が楽しめるのは大いにありがたい。 早いとこ店員さん呼ぼうか。 お決まりのベル的なあれを鳴らすと、これまたお決まりのように店員さんが駆け付けてくる。 「ドリンクバー二つと、あんみつ、フレンチトーストで」 あとはを適当に彼女との睨めっこで時間をつぶすだけだ。  
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