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棗さん、メニューは一つで充分足りますよ、欲張りする必要は全くござーせん。
「棗~、片方貸してくれや」
「………。…こくっ…」
あ、一瞬の躊躇か?躊躇いか?
まぁいいや。彼女はメニューをこちらに渡してきた。
まぁ中の内容は喫茶店らしいものが書いてあるということで。
…お、この店何気にドリンクバーあるし。
…え~と、……うん、もちろんのことドリンクバーを二つ頼むとして、
あと軽食に何を食うかだよな……。
ここはあれでいっとくか?フレンチトースト。家でも作ろうと思えば作れるんだがちょっと面倒な気がしてさ……。
んで、彼女はというと……うん、さっきのことに忠実になぞり、メニューと睨めっこだな。
時間だけが過ぎてゆく。
俺が思うにフレンチトーストも食いたいけれども、実はあんみつも食べたい。
…和風の何が悪いんだ。
……うん、よし、棗のはあんみつに決定。これ、絶対ですから。
「棗、あんみつなんてどうだ?純和風だぞ、純和風」
「……………………?」
まぁ疑問を浮かべても当たり前なのだろうが、そこは俺、あえてスルーで。
やや一瞬の時が過ぎ、彼女はこちらに顔を向けたまま小さく頷いた。
………やったね!
一口だけでも二種類の味が楽しめるのは大いにありがたい。
早いとこ店員さん呼ぼうか。
お決まりのベル的なあれを鳴らすと、これまたお決まりのように店員さんが駆け付けてくる。
「ドリンクバー二つと、あんみつ、フレンチトーストで」
あとはを適当に彼女との睨めっこで時間をつぶすだけだ。
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