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テレビ独特の静電気を帯びたようなあの音とともに、テレビは光源と化した。
…幸いなことにまだアニメのチャンネルにはなっていない。今ならまだ間に合う。うん、手遅れにならない今のうちに………て、あ。
ピッピッピッ………。
彼女の軽快なボタンを押す音と共に、画面に表示されている映像が変わる。
「え、ちょ、ま、タンマ!」
「……………………。」
ピッピッ…という音は止まらない。
え、ちょ、棗さん!?無視ですか!?放置プレイですか!?…僕は断じて認めません!
…と、いや、待て。そんなジョークをかましている時ではない。
刻一刻とその時…いや、チャンネルがやってくる。
そして…彼女が手を止めた。
………ようするに…うん、神はこういう時は味方してくれない。
いつもゲーム盤の台上を自由気ままにいじくり、好きなように変える。
……まぁこの小説やってる俺がしていることなんだが。
…とにかく、意地悪な神はテレビの画面を、俺の狙っていたもので止めてしまった。
隣には目を輝かせるようにそれを見つめる彼女。ええ、分かりますとも。だいたいの表情の変化は察知出来るようになりましたわ。
…録画ボタン押すの面倒になってきたな。
………はぁ…もう、どうにでもなれ、だな。
俺は彼女が体重を乗せているテーブルの向かい側に座り、これまたテーブルに肘を付き、首だけを画面へと向けたってわけだ。
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