第八話 アニメと彼女

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俺と棗、それぞれが自分の支度をしたあと、テレビの前に座った。 ……棗に何見せるか…だよな。さっき見たアニメの第一話でいいよな? とりあえず最初から見せてみせてみよう。 「それじゃ…つけるからな?」 一応彼女に確認。まぁ返ってくる返答は一つだと思うけど。 「……………こくっ…」 …ほらな。うん、まぁこれが彼女の正式な返答だし…。 でも、何度も言うが…言葉で返して欲しい俺もいる。 若干の複雑な心境だ。 俺はテレビの電源、及びDVDプレイヤーの電源を入れると、さっき俺のヲタルームから回収してきたDVDを入れる。 その間中、彼女はずっと動かなかった。 いや、あえて言うなら、首から上はこっちを見ていた…だな。 ……俺のすることを見て見て、どうやってDVDを見るか、覚えられたら大変だな。 彼女にはいい暇つぶしが出来ると思うけど。 「……棗、どこらへんが面白いんだ?主人公?ヒロイン?その他大勢の愉快な仲間たち?」 「………………全部」 ユニークという返答を期待していた俺を誰が責められようか。 若干の期待だ。妄想だ、理解してくれ。 全部…か。…そんなことをいうあなたの全部が愛おしいです。 ……と、ベタなことを言ってみる。 …まぁ満更違ってるわけじゃないんだけど。いや、合ってるな、だいたい…。 まぁそんなわけで、その後の彼女は、俺がいくら話しかけても、なーんにも反応してくれなかったってわけだ。  
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