第八話 アニメと彼女

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……思った通り、若干のイライラ顔を浮かべる彼女。 こちらとしてはやや話し掛けにくい気が……。 ややなんてものじゃないか。 なんか周りとは違うオーラ放ってる気が……しなくもない。 まぁ目にはまったく見れないんだけど。 …とにかく、棗に話し掛けようか。それからじゃないと話は進まない。 「………棗?」 何故疑問詞かは俺でも不明だ。 「………………?」 無視するかと思いきや、彼女意外にも普通な顔でこちらに振り向く。 …うん、さっきまで無視してたんだよ?こっちが驚くのも普通だろ。 「あ、いや、その…面白いか?」 そういえば言葉を考えていなかったな…。話かけて戸惑っているのは俺の方じゃないか。 「………こくっ……。…さっきも言った…」 ……驚くぐらいでは済みそうにないな、これは。 棗特有の頷きのあと、彼女は何をした? なんか自分から話を進めてきたよ? 思わぬ進展だよ? 予期せぬイベント発生だよ? ちょ、これはさすがに俺でも戸惑いを隠しきれない。 それどころか、今なら後ろを向きながら階段を上り下り出来そうなくらいだ。 「……え、あ、そうだっけ…な。…む、そろそろアニメの続きが始まるぞ?」 「…………こくっ…」 ちょ、俺、話流してしまいました。 緊張するなよ、俺。唯一のチャンスを無駄にするなんてどうかしてる。 ……ちッ、時間だ。 CMが終わってしまった。彼女はまた、テレビの方に目を戻すと、……再び俺なんかには目もくれずに………はぁ。  
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