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…と、それから、もう約10分が経った。さすがにこんな中途半端な時間は、俺にとっては楽しめるものがない。
テレビを見ていても、自然とあくびがこぼれてくる。
そんな中、いつだかと同じような服の袖に妙な違和感……引っ張られるようなチョイチョイ…な感じの感触。
……この状況で幽霊さんが出てくるわけでもないし、幼なじみがいきなり部屋に入ってくるというわけでもない。
そうだ、彼女だ。
「そろそろ寝るか?時間も時間だしな。調度いいだろ」
「…………こくっ…」
可愛いやっちゃ。今なら抱きしめたいところなのだが、拒否られたりしたら大変だ。
それこそ心が一生立ち上がれなくなりそうだ。
てかその前に、単に勇気がないだけなんだけど。
とにかく、俺は、隣で小さくあくびをする彼女を連れ、リビングを後にした。
廊下をちびちびと歩く俺と彼女。
…ちょ、棗さん。そっち部屋じゃないです。そっちは玄関です。寒い中寝るのは勘弁ですわ。
そして…うん、壁に激突しないでくれ。俺以外にこの家には誰もいないんだが…結構今の音、うるさいから。
「………ぅゅー……」
そして棗さん。おでこ押さえながら萌えボイス出してないでください、萌えてしまいます。
「ほらほら、寝ぼけてないでしっかりと歩きなさいな」
「……こくっ…(泣)」
やっぱり可愛らしい。なんかいろんなことが可愛らしい。
日記にかきなぐっちまおう。どうせ誰も見ないんだしー。
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