第九話 運動会準備と俺

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さて、願えば叶うこの現実。いや、現には現実ではない……いや、なんでもない。 棗と母さんが風呂に向かって約30分。俺は一人虚しく寂しい時間を過ごしていた。 何度も何度もいうけどさ……、なんでこうも女ってのは風呂が長いのか…男の俺には理解しがたい。 まぁそんなわけで、テレビをチラ見や、ぼーっとしてたり。 さらには『棗に言ってもらいたいボイス』を考えていたなどと、悲しいながらも悠々と時間をつぶすことができた。 …一人で何をやってるだろうね、俺。 棗が来る前はこんなのがいつも日常茶飯事、当たり前だったのに……。 そうして、一人暗い空気を味わっていると、ドアの向こう側からの足音。 ようやく女神様が! 俺の女神様の足音が!? だんだんと大きくなりながらリビングへのドアの向こう側から聞こえてくる。 ええ、こういう時だけは、俺は聴力がウサギ並みになるんです。 ええ、不思議の国のウサギもびっくりなぐらいに。 一歩一歩と近付いてくる足音。 そしてドアノブが下に下りる……。 「あがったわよー」 ……ええ、ウサギもびっくりな展開になりました。 「……母さん、ごめん。今ほどあんたがいらないと思ったことはないわ」 マジで本音だ。すまんが母さん……空気読んでくれ。 早く棗を見せてくれ。 ぶーぶー、棗をだせ棗を~。早く俺に目の保養を~。パジャマという名の神器を~……。 …えらく虚しいな、俺。  
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