第九話 運動会準備と俺

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そうして、空気の読めない母さんがリビングに来たあと、数秒後、やっと彼女はリビングに入ってきた。 濡れた髪、ややほてった肌、パジャマ。そしてなによりも……猫耳。 濡れた髪の間から、チョコンと乗っかるような感じで生えている猫耳。 パジャマの後ろの部分からすらりと伸びる尻尾。 ええ、完璧ですわ。 もうツッコミの入れようがないです。 もちろん今日だけじゃない。昨日も、おとといも、その前からもそう思っていた。 ……でも、いつ見ても新鮮だ。飽きがこない。 これはもう、彼女の素の美しさなんだろうな。 「……母さん。棗…マジで可愛いな。そんじょそこらの奴らと比べれば『月とスリッパ』だ……。母さん…負けたな」 スッポンじゃない。スリッパだ。スッポン以下だ。踏まれる奴らだよ、うん。 「し、失礼ねっ!…でもまぁ…否定できないのが悔しいけど…、あんた…本当にいいの連れてきたわね…」 素直に受け取っておきます。 やっぱり俺の目は節穴じゃなかったな。 ちなみに、そんな当の棗さんは、勝手にテーブル横に座り、やっぱり『でろろ~ん』としている。 お気に入りか?テーブルのひんやりと冷たいところを楽しんでるのか? まぁこんなことは、彼女に聞いてみなきゃ分かんないけど。 でもまぁ…、今は俺はもっと別の質問がしたい。 しかも母さんに。 「えーと…、母さん、棗とのお風呂はどうだった?」 …やっぱ気になる。 男の運命ですから。やっぱり興味を持つのが普通なんだよ、うん。  
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