4719人が本棚に入れています
本棚に追加
そうして、空気の読めない母さんがリビングに来たあと、数秒後、やっと彼女はリビングに入ってきた。
濡れた髪、ややほてった肌、パジャマ。そしてなによりも……猫耳。
濡れた髪の間から、チョコンと乗っかるような感じで生えている猫耳。
パジャマの後ろの部分からすらりと伸びる尻尾。
ええ、完璧ですわ。
もうツッコミの入れようがないです。
もちろん今日だけじゃない。昨日も、おとといも、その前からもそう思っていた。
……でも、いつ見ても新鮮だ。飽きがこない。
これはもう、彼女の素の美しさなんだろうな。
「……母さん。棗…マジで可愛いな。そんじょそこらの奴らと比べれば『月とスリッパ』だ……。母さん…負けたな」
スッポンじゃない。スリッパだ。スッポン以下だ。踏まれる奴らだよ、うん。
「し、失礼ねっ!…でもまぁ…否定できないのが悔しいけど…、あんた…本当にいいの連れてきたわね…」
素直に受け取っておきます。
やっぱり俺の目は節穴じゃなかったな。
ちなみに、そんな当の棗さんは、勝手にテーブル横に座り、やっぱり『でろろ~ん』としている。
お気に入りか?テーブルのひんやりと冷たいところを楽しんでるのか?
まぁこんなことは、彼女に聞いてみなきゃ分かんないけど。
でもまぁ…、今は俺はもっと別の質問がしたい。
しかも母さんに。
「えーと…、母さん、棗とのお風呂はどうだった?」
…やっぱ気になる。
男の運命ですから。やっぱり興味を持つのが普通なんだよ、うん。
最初のコメントを投稿しよう!