第十話 グダグダな彼女

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というわけで、所移り変わってここは台所。 寝ぼすけ彼女はそのまま放置し、カレーの下準備ってわけだ。 あ、カレーって言ったってカレー粉から作る本格的なやつじゃない。 ルーから作る、手順さえ覚えていれば子供だって出来る簡単な方の料理だ。 俺だってそうなんでも作れるわけじゃない。 本格麻婆豆腐なんてもってのほかだし、たまに生ラーメンだって失敗するときがある。 俺だってただの平凡な人間の一人、簡単な料理しか作れない。 ましてや本格料理人になろうとも思ってはいない。ただまずくない、食えればいいだけの料理を作っているまでだ。 カレーだってそのうちの一つ。二、三日は他のやつを作らなくていいから覚えただけさ。 開始~完成までの手順はいろいろとあるが、ほとんどは単純なもの。 たま~に押し入れの奥の母さんの料理本とかを見ておさらいするくらいなもんさ。 そんなわけで下準備に俺は取り掛かる。 ……てか…、下準備の前に…俺、昼飯食ってない。 棗に気をとられててそこまで頭が回らなかったんだな、多分。 普段の俺なら今頃カップ麺でも食べてただろうに。 でも今日は面倒だな。別に人間昼飯食わなくても生きていけるよな。 そんなわけだ。今のうちは水で我慢しておこう。 貧乏?いいえ、違います。質素倹約なだけです。  
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