第十話 グダグダな彼女

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俺が声をかけると彼女は小さく頷き……目を…開かなかった。 よくあるよな、起こしたのに起きなかったーって答えて逆ギレされるやつ。 本人は頷いたり返事したりすんのに、いつのまにか寝てるんだよ、うん。 さて、そんなのは今はおいといて……だ。 …この様子だと多分彼女は起きてくれない。 二度寝してしまうのがオチだろう。 なんとしてでもそれは避けたい。 できれば今すぐにでも起きていただきたい。 「ほい、棗、もう朝だぞ~。朝ご飯食べちゃうよ~……」 口調が気持ち悪い?…御愛嬌です。 俺の言葉に対して彼女は、いやいやと言うかの様に首を振り、しまいには寝返りをうって俺とは反対側を向いてしまった。 器用だな、彼女。布団にぐるぐる巻きなはずなのに、何故か普通にその場で半回転だ。 なにこの寝起きありがちフラグ。 …これはもう…フラグに沿って話を進めるよりは…チート使った方がいいよな。 「起きないと猫耳触るよ?いいのか~?」 …ええ、反則なのは分かってますとも。 最終手段とでもいいましょうか。 とにかく…たかが起こすことに俺は必死なんだよ、畜生め。 彼女は、……いや、正確にいうと、彼女の耳は俺の言葉にピクッと反応し、そのあとに再びゆっくりと寝返りをうった。 …今度は目を開いた状態で。 完全に今の言葉で起きたのは一目瞭然、俺のミッションはコンプリートだ。 …彼女の機嫌が悪くなったのは別として。  
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