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俺が声をかけると彼女は小さく頷き……目を…開かなかった。
よくあるよな、起こしたのに起きなかったーって答えて逆ギレされるやつ。
本人は頷いたり返事したりすんのに、いつのまにか寝てるんだよ、うん。
さて、そんなのは今はおいといて……だ。
…この様子だと多分彼女は起きてくれない。
二度寝してしまうのがオチだろう。
なんとしてでもそれは避けたい。
できれば今すぐにでも起きていただきたい。
「ほい、棗、もう朝だぞ~。朝ご飯食べちゃうよ~……」
口調が気持ち悪い?…御愛嬌です。
俺の言葉に対して彼女は、いやいやと言うかの様に首を振り、しまいには寝返りをうって俺とは反対側を向いてしまった。
器用だな、彼女。布団にぐるぐる巻きなはずなのに、何故か普通にその場で半回転だ。
なにこの寝起きありがちフラグ。
…これはもう…フラグに沿って話を進めるよりは…チート使った方がいいよな。
「起きないと猫耳触るよ?いいのか~?」
…ええ、反則なのは分かってますとも。
最終手段とでもいいましょうか。
とにかく…たかが起こすことに俺は必死なんだよ、畜生め。
彼女は、……いや、正確にいうと、彼女の耳は俺の言葉にピクッと反応し、そのあとに再びゆっくりと寝返りをうった。
…今度は目を開いた状態で。
完全に今の言葉で起きたのは一目瞭然、俺のミッションはコンプリートだ。
…彼女の機嫌が悪くなったのは別として。
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