第十話 グダグダな彼女

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……口をきつく結んだまま何も話さない彼女。 まぁ何も話さないのはいつもと変わらないんだけど。 そんなに嫌なのかね…『猫耳』って言われるの。 …絶対なんか深い理由あるよな。 …まぁ興味を持ったって無駄なのは知ってるから、あえて彼女に問わないんだけど。 ほら、隠し事は少しはあったほうがこの先仲良くやっていけるというものよ。 そんなわけだけど…ほら、えーとまぁ……話は変わるといえば変わるんだが、 棗の機嫌とろう。なんか彼女の機嫌が悪いとこ、見たくない。 …なんでだろうな。 「よく眠れたか?昨日は若干夜更かししちまったのか?今度からはもう少し早くねるか……」 「…………………。」 あ、やっぱり無言無視なわけね。もう慣れました。……いや、傷ついてるけどさ、内心。 それでもやっぱり答えて欲しい俺がいるわけよ。 こういうときほど、短かった廊下が長く感じちまうんだよな…。 いや、正確には俺が彼女に歩幅合わせてるから感覚的には長く感じちまってんのかね。 …彼女、歩幅が小さいわけだ、本当に。そこがまた可愛いところだからいいんだけどさ。 うん、歩幅を合わせる方が疲れるくらいに小さい歩幅。 俺の歩幅の役何分の一なんだろう…、若干気になった。 さて、そんなわけでリビングだ。扉は開けっ放し、スルー通過しました。 そんなわけなので、俺は彼女を先に扉を通す。 ほら、『れでぃふぁーすと』ってやつよ。男の紳士的なたしなみだ。 こんなところでも男、いや、漢を見失わない俺…凄いよな、いろんな意味で。 うん、いろんな意味で。  
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