第十話 グダグダな彼女

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……すまん。寝過ごした。 俺としたことが……、ちょっとした一時間くらいの仮眠にするつもりだったが……、この時間。 太陽が見え隠れする夕方の優しい日の光がリビングに差し込んでいる。 『真昼時の光』ではなく、同時に淋しげな光でもある、夕方の光。 ……今夜は眠れそうにないな。ざっと4時間くらい寝たもん。 下手すれば夜寝るよりも寝てしまったんじゃないのか? そんなことを今この状況で考えていたりする。 そして俺の今の状況……、テーブルに突っ伏しているのは変わらないのだが……、寝ているとき、俺の足は正座をしていたはずだ。 つまり、正座をしながら、上半身の伸びをしながらテーブルに張り付いてたってわけだ。 そして、そんな正座をしていた俺の足に違和感がある。 ……まぁ正座といったら有名なフラグがあるじゃないか。 ほら、……膝枕フラグ。 この状況、まさにそのとおりだ。寸分の狂いもない膝枕フラグ。 誰が俺の膝に乗っているかは言うまでもあるまい。 なんでだろうな? 彼女、テーブルを挟んで俺の向かい側にいたはずなのに。 どんだけ寝相悪いんだよ……。ぐるりと転がってこちらにまで来るとは……棗、たいしたやつ。 さて、この時間、そろそろ夕ご飯の支度をしたい夕方時。 俺の膝に乗る棗をどうにかしないとな……。なんていうか……、下手に動いたら落っことしそうだ。 この状況、どう打開するべきか……もう少し悩む必要があるな。  
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