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……とは言ってもだ。これといって話すことはない。
今回は話す話題さえないんだ。意外に難題だな。
アニメのことを話すのは……ちょっと無理ですかね。
じゃあこの家のことは……、今はひとまずおいておこう。造りが嫌いだとか言われたら引っ越せるぜ。
スプーンを口に運びながらも考える俺。
あ、そうだ。そうだよ、母さんの話にしよう。これなら棗も食いつくかも知れないし。
ほら、裸の付き合いっていうじゃないか。
……なんか意味合いがあっているかは微妙なんだけど。
俺は彼女の方を向き、口を開いた。
「棗、食べながらでいいから答えてくれ。……正直母さんのこと、マジでどう思ってる?」
食べながらでいいと言ったが、彼女はこの言葉でスプーンを降ろす。
「…………ふぃふょー」
……食べ“ながら”だな。ある意味で。いろんな意味で。
さすがにもぐもぐとしながら発音しないでいただきたい。
……俺から言ったものの、やっぱりしっかりと箸ならぬスプーンをおいて話を進めるとしよう。
聞き取れなかったら意味がないからな。
俺もスプーンを降ろし彼女を見つめる。
いや、この場合見つめるはおかしいか。正確には、彼女と目を合わせる、だな。
「すまん、もう一回言ってくれ。聞き取れなかった」
今の発言は彼女に失礼か。……いや、いちいち気にしてたら前に進めない。
……なんかいろいろと失礼だな、俺。
「………………微妙」
今度はしっかりと聞き取れる声で彼女は俺に答えてくれた。よかった、普通な対応で。
『微妙』ねぇ……。とりあえず好印象はもってないってことね。
かわいそうに、母さん。
人間、嫌われたら終わりなんですぜ。
いや、俺が言えたことなのかはこの際別として。
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