第十話 グダグダな彼女

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「微妙…か。風呂の中ではなんかあったか?」 何度もいうが、男として仕方ないんだよ、こういう疑問を持ってしまうのは。 ほら、だって知りたくない? いつもは一人ですたこらと風呂へ向かう女の子の風呂での行動。 変態? いいえ、違います。重度の末期な変態です。 これ、テストでるから。 さて、俺の発言に対して何故か言葉を発しない彼女。辺りを沈黙が襲う。 そんな中彼女は俺と目を合わせ続けること約数十秒。 ……多分このまま時を流していても埒があかない。ここは助け舟を出すべきか。 「言葉が出てこないのか? なんなら『された』ことでもいいけど?」 ……母さんが何かをしたこと前提で話を進めたことに、誰もツッコミは入れられまい。 このことは既に母さんが自白済みだからな。 母さんはタオルを奪い去っただけだと言ったが……、やっぱりされた本人に聞かなきゃ本当かどうかは分からないし。 「…………たっち」 彼女は無表情で口を開く。こちらに向ける一心な瞳。 たっち……? タッチ? TOUCH!? ……冷静にだ、俺。まずはどこを触られたかを聞かないと。それによって母さんを『感電死』か『焼死』かのどちらかで暗殺するかが決められない。 「……………ここ」 彼女は自分のお胸様に手を被せる。 これはまさか……触られ方か? 後ろから覆いかぶさるかのように胸に手を添えられたのか!? そのままプリンを味わうかのように揉んだのか!? 俺の棗に、その汚れ多き魔の手で触れたのか!? あやつ……うらやまし……じゃない! 生かしてはおけぬ。『感電死』決定だ。 即死、一瞬でこの世から生命反応なくしてやる。 てか……棗さん。少しは頬を紅く染めましょう。 わたくし、あなたの照れたり恥ずかしがったりする姿、一度は見てみたいです。  
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