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「学校はな、酷くつまらない場所だぞ? テレビもなければ休める時間もあんまりない。あるとすれば暇な時間だけだ」
変に期待を持たれないように、先に釘をさしておく。
ほら、運動会で一緒に散歩してるときに、『校舎内も探検してみたい』的なことを言われかねない。
いくらなんでも一般人は立入禁止だからな……、棗は運動会でもないと校庭にさえ入れない。
あ、本音をいうと、棗と一緒に学校行きたい通いたい。
でもまぁ……現実を見たらそれは実現しない夢。いや、夢を夢で終わらせないのが作者の役目だろう。
でも……、無理過ぎることはいくら作者でも無理。畜生め。神様め、恨んでやろうか。
一人小さくため息を吐き出し、鬱に浸っている俺。
俺も『ぐでろ~ん』としていたい気分だ。
そんなとき、テーブルを伝って細かな振動が俺に。
なにかと思えば、彼女が首をあげ、こちらに顔を向けている。
首をあげた彼女が小さく口を開いた。
「……作者……嫌い?」
「え? あ~っと、何が?」
彼女が珍しくも彼女から俺に口をきいた。……しかもちゃんとした日本語で。
ただ、何が言いたいのかは俺には分からなかったのだが。
こういうときは素直に聞き返すべきだろう。
『詳しく』……と。
「…………学校」
ああ。なるほど。
棗、主語が抜けてるんだもん。一瞬よく分からなかったわ。
「……いや、嫌いじゃないよ、学校。むしろ好きな方だ。俺の中では」
……え? さっきと言ってることが矛盾してる?
しょうがないじゃん。彼女が聞いてきたんだもの。学校の評価下げはやめだやめだ!
俺は体を起こし、彼女にそう答えた。
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