第十話 グダグダな彼女

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俺は、棗のベッドの上の布団と床の方の布団、両方とも整えると、早速だが、棗のベッドに座った。 ついでに手招きで彼女も隣へと呼ぶ。 彼女もこれに気付き、俺のやや隣に座った。 『やや』っていうのは、簡単に言えば俺と棗の間に若干スペースがあるってことだ。 「そういえばさ~、ベッド、寝心地いいか?寝やすい?」 「……こくっ……。……交換?」 俺の問いに対して、小さな頷きと共に、またもや主語のない単語を俺にぶつけてきた。 『交換』ねぇ……。布団繋がりなんだろうけど……この場合は、ベッドと床の布団、どっちで寝るかの話のことか? 俺的には彼女には床で寝てほしくない。風邪引きそうだし。 ……まぁたびたび棗はベッドから落ちて寝てるから変わらないんだけどさ。 なにごとも気分から始まるわけよ。 「いや、いい。棗がベッドで寝てくれ。床で寝るのは俺だけでいいよ」 本当にベッドか床かの話なのかはおいといて、とりあえず答えておいた。 それに対して彼女も小さく頷く。 多分合ってたんだろう。俺の咄嗟の勘に賞状を送ろう。 そんなわけで俺と棗の間には若干の沈黙。 今度は気まずいわけではなく、夜の余韻に浸っているだけの沈黙。 こういうだんまりもたまにはいいもんだ。  
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