第十一話 運動会と俺

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『よし、それじゃ、まぁ軽く説明くらいはしておくか。運動会とは、だな一一』 『…………こくっ一一』 今日一日くらいは彼女のために時間使ってもいいよな。 みっちりと運動会という基礎知識を叩き込んでやろう。 それでもまぁ、実際のところ長々とやってても飽きるだけだし……さっさと説明終わらせて棗と一緒にアニメでも見るか……。 一一一一一一一一一一一 という感じ、いきなりだが回想を終わらせていただく。 今の説明だと、すぐに終わって、彼女とアニメ見て、無駄な一週間を飛ばした~な感じになってると思えかも知れん。 いや、それが……理想だったんだけど。 あのあと、意外にも彼女が完全に運動会という『行事』を理解するのにかなりの時間がかかった。 ええ、それはもう一日では到底“理解”にまで辿り着けないぐらいに。 無駄に不必要な日にちを挟んでしまったわけだ。 まぁそれでも無駄な日は飛ばすつもりだったからな……、 途中の話が出来たからよかったといえばよかったんだが。 さて、そんな約二週間を過ごし、実はというと昨日の夜にまで最後の棗の復習をしていたのだが、 実は昨日、俺は先に寝てしまった。 そんなわけで、俺が前にも言ったとおり、今の俺はいつもどおり布団の中にいる。 そして、あえてここで付け足そう。棗が今居るところを。 ……彼女は、布団を挟んで調度俺の膝の上に上半身の重みを乗せている。 つまり、彼女の腰から下はベッドの上だ。 例えていうなら、豪快な滑り込みを決めた盗塁選手のような顔面スライディングのような感じ。 多分棗、夜中のうちにベッドから落ちたんだと思う。 そして、床に広がる数枚の紙。……ええ、紙。 競技の種目絵図とかをパソからプリントアウトしたやつだ。 彼女が、昨日のうちにこれを見て覚えてくれていたら楽なんだろうけど。  
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