第十一話 運動会と俺

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完全に目が醒めたと思われる彼女を連れ、俺は短い廊下を歩いている。 彼女の方も、寝ぼけ特有のふらつきもなく、いたって普通な歩き方だ。 さて、そんななか俺と彼女はリビングにつき、とりあえずテーブルを挟んで座った。 ……というよりも、彼女がいつものお気に入りの場所に腰を下ろしたのを確認してから、俺も座っただけなんだが。 「昨日はあのあとしっかりと覚えたのか? さすがにあれくらいは覚えてもらわないと」 あのあと……というのは、不覚にも俺が睡魔に敗北し、一人先に布団に寝てしまったときのことを表す。 ついでに、あれ……というのも、床に軽く散らばった運動会についての紙のことだ。 「……………………。」 彼女は無言無表情で俺に返答。……いや、この場合返答でいいのか? まぁ無言なところを見る限り、……そうだな、俺が即効で寝てしまったあと、彼女も寝てしまったっぽいな。 口を開かずとも、俺には分かるのですよ……多分。 まぁそれでも、約二週間前からいろいろと叩き込んでるんだ。 心配しなくても大丈夫だろう、…………多分。 さて、話は変わるんだが、いまだに俺は彼女が運動会に来れることに対して、若干の不安がある。 いくら予習をしておいても……彼女だからこその不安がある。 人間関係の方で……だ。 ベタベタとうっさい友人他クラスメートが、なにかしらで騒がなきゃいいんだけどな……。 人見知り……までとはいかないけど……まぁ単体だったら大丈夫だよな? 母さんのときは大丈夫だったんだし。 俺のときは……散々だったけど。 まぁ……これは俺が心配することじゃないよな?彼女自身の問題だ。 それよりも……彼女の俺との設定をどうするかだ。 従姉妹? それとも彼女? 正直すっごい悩む。  
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