第二話 猫耳な彼女

17/20

4719人が本棚に入れています
本棚に追加
/558ページ
  会った時と変わらぬ無表情を浮かべ、カップヌードルの容器を眺めている。 というよりも彼女は何一つ表情を変えていない。 全てに無関心な顔なのだが……。 今のところは、ネコミミとお魚のみにほんの少しだけ違った反応を見せる。 ……そうだ。棗観察日記をつけよう。ネコミミの生態がよく分かる、そんなのを書こう。 さて、まぁカップヌードルの容器は後で使うとしてとりあえずはまず、お湯を沸かそう。 えっと……やかん、やかん……あった。 とりあえず俺は適当な量の水を入れ、コンロに火をつける。 ……と同時に棗が後ろにたじろいだが、特に俺は気にしなかった。 ……猫だもん。火を怖がって当たり前だろう。……まぁ彼女は猫……というよりかは獣人と言った方がいいのかも知れないのだが。 それにしても……俺はお湯を入れてからの三分よりも、お湯を沸かす数分の方が嫌いだ。 なんか、いつ終わるのか、という感じで、限度のないものは基本的に好きじゃない。 ほら、テレフォンカードとかも、度数があるから意味があるだろ? 無限に使えたら使えたで嬉しいけども、多分心の中で飽きるんじゃないの? ……やかんから話のスケールが大きくなってしまったが、やかんのお決まりの音、ピーッ!という耳障りな音のおかげでお湯が沸いたことが分かった。 ついでに、今の音でも棗の体がビクッとなり、耳も反応したが、また普通に戻った。 「棗、それ貸してくれ」 「…………こくっ……」 素直に手渡しで容器を渡してきたので、それを受け取った。……と同時にフタを開け、お湯を注いだ。 ……まぁでもやっぱりこの三分は長いよな……。 つまんないから棗のネコミミでも眺めていよう。  
/558ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4719人が本棚に入れています
本棚に追加