4719人が本棚に入れています
本棚に追加
……そういえば、いきあたりばったりだったので、外に出たあとのことを考えていなかった。
俺と棗、これからどこへ行ったらいいんだろうか。
一応財布や携帯など、必要最低限なものは持っているが、具体的にどこに行くかは決めてなかったし。
「…………あっち」
俺が一人思いにふけっていると、彼女がいきなり華奢な手の人差し指一本をたて、道を指差す。
道と指差したといっても、左と右……、彼女が指差したのは学校へ行く側の道。
公園や商店街、はたまた学校のある方向の道だ。
今日はつまりデパには行かなくてもいいんだな。
財布は持ってきたとはいえ、中はすっからかんに等しいし……うん。
「棗の行きたいところに行っていいからな? とりあえず先を歩いてくれ。俺は後からついていくような感じにするから」
俺の言葉に対して、彼女はほんの少しだけ頷き、指差した方向へと歩き出した。
そして俺は、それを追うようにして彼女のあとをついていく。
彼女がゆっくりな足どりになれば俺もゆっくりになるし、その逆も……だ。
この道を進むのも戻るのも彼女次第。
俺的にはたまには彼女を自由にしてあげるなんていうのもありかな~なんて。
しばらくして彼女は立ち止まる。
そして、その道の横に広がるのは……、彼女と出会ったあの公園だった。
公園、そう、公園。
彼女がここに何の用があるのかは知らないけど、……まぁ、入るか。
……彼女がここで立ち止まったんだもん。
最初のコメントを投稿しよう!