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ジムのてっぺんで風を感じつつ思うこと。
そろそろ家帰らないと母さん怒ってるんじゃね?
とか、
風を浴びすぎて風邪引いたら明日の運動会行けなくね?
とかを考えてしまう俺がいる。
簡単に言えば気分転換のためだったこの散歩、ずっとジムの上に座っているのも勿体ない気がする。
「棗、そろそろ別のところ向かおう。てか足動かしたいんだけど……」
「………………こくっ」
若干の間があいたあと、彼女は小さく頷きを返してくれた。
まぁそんなわけでジムから降りるわけなのだが……、俺的にはさっさと降りたい。でも……この不安定な体制から飛び降りるのは怖い……気がする。
別に高所恐怖症というわけではないが、飛び降りるのはなんかな~……なんて思ったり。
若干不思議な心境なわけだ。
そんな俺の横の彼女が突如視界から消えた。
うん、いきなり。
簡単に言えば飛び降りたわけだ。
音も無く着地してみせる彼女。
ふわりと落ちる羽のように。
いや、それでも現実を考えれば少しは音はするものだが、
その音は都合よく木葉のざわめきに掻き消されてしまった。
それに比べての俺は……はぁ。
飛び降りることもせず、一歩一歩とジムを降りることに決定。
なんとでも言え、ばかやろー。
……け、怪我しないためだ。明日出れなくなったら嫌だもん。
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