第十一話 運動会と俺

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ジムのてっぺんで風を感じつつ思うこと。 そろそろ家帰らないと母さん怒ってるんじゃね? とか、 風を浴びすぎて風邪引いたら明日の運動会行けなくね? とかを考えてしまう俺がいる。 簡単に言えば気分転換のためだったこの散歩、ずっとジムの上に座っているのも勿体ない気がする。 「棗、そろそろ別のところ向かおう。てか足動かしたいんだけど……」 「………………こくっ」 若干の間があいたあと、彼女は小さく頷きを返してくれた。 まぁそんなわけでジムから降りるわけなのだが……、俺的にはさっさと降りたい。でも……この不安定な体制から飛び降りるのは怖い……気がする。 別に高所恐怖症というわけではないが、飛び降りるのはなんかな~……なんて思ったり。 若干不思議な心境なわけだ。 そんな俺の横の彼女が突如視界から消えた。 うん、いきなり。 簡単に言えば飛び降りたわけだ。 音も無く着地してみせる彼女。 ふわりと落ちる羽のように。 いや、それでも現実を考えれば少しは音はするものだが、 その音は都合よく木葉のざわめきに掻き消されてしまった。 それに比べての俺は……はぁ。 飛び降りることもせず、一歩一歩とジムを降りることに決定。 なんとでも言え、ばかやろー。 ……け、怪我しないためだ。明日出れなくなったら嫌だもん。  
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