第十一話 運動会と俺

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さて、確実かつ安全、されど地味に降りた俺は、無駄に憂鬱に浸っている。 ほら、やっぱり俺の隣には華麗に飛び降り、何もかもが完璧に始まって、そして終わった一人の少女がいるんだ。 それに比べて俺は……とかと考えてしまう。 まぁそんなことしてたら無限ループに繋がるんだけどさ。 手を膝につき、無駄に……ため息がこぼれている。 「…………次行こ」 そんな鬱に浸っていた俺を救ったのは彼女の言葉だった。 俺の服の袖をちょいちょいとするかのように、超優しいお言葉。 「……あ、ああ。次は家か? それとももう少し散歩しておくか?」 俺的には……うん、軽くどちらでもいい。 彼女に任せますよ、はい。 行くとしたら……商店街の方かな。 ついに棗、商店街デビューか。 こっそりとこの町の一員になるのか。 俺的には大歓迎だ。 「……行こ……向こう」 彼女は公園の出入口を指差し、俺に言葉を投げかけて来たわけだ。 ……答えるまでもない。ほら、行かなきゃここから出れないもん。 静かに駆けだす彼女の背を見ながら、俺もゆっくりと足を進めたわけだ。 「あ、おーい。帽子ズレてるー。直せ、今すぐ直せ~」 一言公園の中、小さく彼女に向けて声をあげながら。 ……近所迷惑? 知りません、そんなの。  
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