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さて、確実かつ安全、されど地味に降りた俺は、無駄に憂鬱に浸っている。
ほら、やっぱり俺の隣には華麗に飛び降り、何もかもが完璧に始まって、そして終わった一人の少女がいるんだ。
それに比べて俺は……とかと考えてしまう。
まぁそんなことしてたら無限ループに繋がるんだけどさ。
手を膝につき、無駄に……ため息がこぼれている。
「…………次行こ」
そんな鬱に浸っていた俺を救ったのは彼女の言葉だった。
俺の服の袖をちょいちょいとするかのように、超優しいお言葉。
「……あ、ああ。次は家か? それとももう少し散歩しておくか?」
俺的には……うん、軽くどちらでもいい。
彼女に任せますよ、はい。
行くとしたら……商店街の方かな。
ついに棗、商店街デビューか。
こっそりとこの町の一員になるのか。
俺的には大歓迎だ。
「……行こ……向こう」
彼女は公園の出入口を指差し、俺に言葉を投げかけて来たわけだ。
……答えるまでもない。ほら、行かなきゃここから出れないもん。
静かに駆けだす彼女の背を見ながら、俺もゆっくりと足を進めたわけだ。
「あ、おーい。帽子ズレてるー。直せ、今すぐ直せ~」
一言公園の中、小さく彼女に向けて声をあげながら。
……近所迷惑? 知りません、そんなの。
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