第十一話 運動会と俺

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「なにも買わなくてもよかったのか? 一応金はあったんだし。帰りにでも寄ってくか?」 「……ふるふる……」 俺の問いに対して、彼女は小さく首を振る。 道の片隅での会話。……会話か? 「だったら……もう少し散歩して行く?」 「…………こくっ……」 二つ目の問いには、彼女は今度は小さく頷いた。 ……そんなに外に出れたことが嬉しいのか? ……別に俺は家に閉じ込めていたとは思ってないけどさ……、 結果はどうあれ、今後はちょくちょく一緒に散歩行くかな。 とりあえず立ち止まっていた俺たちなのだが、とにかく、またスローなペースで足を進めていった。 さて、これから向かうは、明日の運動会のために既に準備が整っている学校だ。 まぁ簡単に言ってしまえば運動場を見に行くだけだな。 ……立入禁止かな。まぁ外から見るくらいなら大丈夫だろ。 商店街を抜け、少しばから進み、通学路へと合流。 こっからは後は彼女にとっては果てしなく長い登り坂があるだけ。 まぁ……ゆっくりと歩んでいこう。 時間はあるんだからな、たっぷりと。ちょっとばかり無駄に時を過ごしたっていいだろ。    いや、ただ単に自宅に戻りたくないだけかもしれないけど。  
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