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ずっと彼女を見続ける。
おーい、誰だ~、俺の決意に対して気持ち悪いとか頭の中でつぶやいたのはー。
これは俺の決意なんだぞー。
坂を登りきったその気分のままふと思い付いただけだー。
すまん、なんか投げやりな感じになった。
無性に虚しいこの気持ちを持って……歩き出すのはちょっとつらいかも。
うん、いろんな意味で。
でもまぁ……うん、彼女を見続けるっていうのはあながち嘘にはならないかもな。
ずっと傍にいる。
それだけは約束しよう、俺の胸に刻んでおくんだ。
さて、なぜかさっきから道で立ち止まってしまっていた俺だが、一呼吸してからゆっくりと進み出す。
それに気付いた彼女も急いで俺に合わせ、若干早足のペースで俺の横につく。
やべ、声かけるの忘れてた。
俺が思うに、なんか彼女は抜けているからな……。
何て言うの? 天然? ドジっ子?
とりあえずベストな萌え要素を合わせ持つ可愛らしい猫耳少女だ。
あ、俺?
作者クオリティを使いこなす重度の変態。
もうこの際認める。
まぁそんな感じの脳内独り言だったが、足はしっかりと歩みを進める俺と彼女。
「学校…………まだ?」
「もう少しだから歩き続けてくれ」
独り言を頭の中でつぶやいていたときに聞こえた彼女の一言。
「学校…………まだ?」
「棗、まさか歩くの疲れてきてたりしない?」
「……………………。」
こちらに向けていた無表情が一瞬止まる。
どうやら図星らしい。
もう少し待っててくれよ?
もう少しで……ほら、見えてくるはずだから……。
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