第十一話 運動会と俺

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そう、ページを進めば展開が進む。 小説とはそんなものだ。 あ、ごめん。久しぶりにこっちの話。 さて、彼女がだるんだるんだったあの坂を登り、少し道を進むと、だんだんと学校が見えてくる。 明らかに暇々な表情をしていた棗も少しだけ目に輝きが戻ってきている。 こういう表情が……俺は好きです、はい。 「見えるか?」 ええ、きっと棗には見えていますとも。 それでも聞いてみたい俺がいるんですよ。 「…………こくっ……」 俺には顔を向けなかったがおそらく学校を見ているであろうその瞳。 多分俺と棗が一緒に見た中では、デパの次に大きい建物だと思う。 好奇心旺盛……だと思われる棗にはいい目の保養だな。 そんなことを思いながら歩みを進めていく俺。 結構大きく見えてきたな~ってところで、 やっと運動会のための“国旗がずらーっと並んだやつ”とか、“お偉いさん方が座る用に置いてあるテント内のテーブルと椅子”とかがあるのが見える。 ここまで来てやっと明日が運動会だなーって自覚したわ。 「明日ここに母さんと来るんだからな?」 「…………こくっ……」 今度は俺と目を合わせながら小さく頷いてくれた。 ……この頃は俺の方を向いてくれるようになったな。 小さくも嬉しい進歩だ。  
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