第十一話 運動会と俺

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さて、学校の校庭内には入らずにぐるりと周りを一周し、 彼女もそろそろ気が済んだかな~……というところでいったん俺は足を止める。 てか……俺的には早く家に帰りたい。 これだけ時間をつぶせば母さんに怒られる可能性もなくなっただろうけど、 これ以上時間を重ねたら逆効果かもしれない。 なにごともほどほどに……だな。 「そろそろ帰るか? もう見るとこもないんだし……」 「……こくっ」 俺が聞いた瞬間、彼女は頷いた。 飽きてきた……と受け取っていいんだよな? まぁ正直俺も飽きてきたんだけどさ。 「帰りは下り坂だから早く帰れそうだな。そうと決まったら善は急げだ」 「………………?」 こちらに顔を向け、首を傾げる彼女。 ……説明するの面倒だな。省く。うん、省く。 俺と棗はさっき来た道に歩みを進めた。 といっても……最初から早歩きだけどさ。 棗なんてもう本走りだ。 全力疾走まではいかないけども……いつもの彼女のスピードと比べたら結構早い。 いつもの2倍くらい早い。 ちなみに俺のスピードは彼女に合わせてるいつもの四分の五倍。 ……あんまり変わんないな。 例えるなら……道を歩くネコに抜かれるぐらいとでも考えてくれ。  
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