第十一話 運動会と俺

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「おかえり、棗ちゃん。そんでもってついでに作者も」 ついでの存在の俺。 息子ながらにこの扱いなのな。 いじられキャラは好きではありませんので悪しからず。 口に出して言ってやりたい、無性に。 「……あえてもう一度言うけどただいま。その……洗ってくれた?」 「あんたのおかげで昼ドラ途中途中記憶の中から飛んでるわ」 顔だけの笑顔を浮かべる母さん。 中身ではなく顔だけ。 恐らく中身は修羅の心。真っ赤な恨みの炎が燃え上がっていることでしょうよ。 てか母さん……昼ドラ見てたんだ。 リビングに肘をついて寝っ転がる母さんを想像してしまった俺を誰が責められようか。 「まぁ……俺と棗にはいい休憩になったから良しとしといてくれ」 「……なんでそこ勝手に納得しようとしてんのよ……」 ごめん、玄関先で腕を組みながら呆れ顔をこっちに向けられても困る。 正直安心してるんだから、こちらとしては。 良かった~、しっかりと洗っててくれて~な感じに。 更には“勝手に休憩&洗い物を任せた”ことにより怒られるとさえ思ってたんだから。 何はともあれ良かった良かった。 ハッピーエンドだな、うん。 「というわけで、今日代わりにご飯作ってね、“あんた”が」 いきなりの不意打ち。 ……どうやらまだまだ俺の日曜日は続きそうですね、はい。 そろそろ運動会入ろうかな~……なんて思ってたりしたのに。    
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