第十一話 運動会と俺

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はい、そんなわけで次の日。 てな感じに簡単に日が進むわけがないよな。 今の時間、夕方。 普通ならばこの時間、主婦たるものがキッチンに立っているのだろうが、 母さんがリビングにいながらも俺がキッチンに立っている……という立場逆フラグ。 もちろん当たり前に母さん飯作れるぞ? さっきの会話のとおり、母さんに押し付けられたってわけだ。 俺の見る限りその母さんは、夕方のどこか寂しい赤い光が窓越しに降り注ぐリビングに悠々と床に体を預けている。 あのやろ、昼ドラ見れなかった腹いせに活用するはずのない無駄な主婦の番組見てるし。 こっちは必死に夕飯の支度してるってのに。 更には母さんときたら、さっき想像した通り床に肘をついて寝っ転がっている。 そのうち居眠りしそうなぐらいにな。 そんでもって、そんな母さんの横にはテーブルに体を委ねて、母さんからリモコンを掻っさらおうとしている棗がいる。 手を伸ばして母さんの手に収まるリモコンを引っぺがそうと……手探りでリモコンを探してるよ、うん。 あ、ちなみに彼女は家に帰るやすぐさま被っていた帽子を取り去った。 やっぱり窮屈なんだろうな。 やっぱりラフな感じが1番らしい。 まぁ俺もそのことにたいしてはツッコミを入れることはない。至って普通だ。 さて、 まぁそんな感じでときは進み、母さんは『ぐで~ん』と、彼女は『のびろ~ん』な体制で夜を迎えてったってわけだ。 時間経過が早い? 気のせいです。  
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