第十一話 運動会と俺

31/95
前へ
/558ページ
次へ
  洗い物を終え、ついでに棗と母さんを『別々』に風呂に入れ、俺も後から入った。 寝る支度とかもこの際省略。 あとは寝るだけにさせてもらった。 これ、小説の技法。 さて、髪の濡れたままの彼女、母さん、そして俺がリビングへと集合している今。 いつも通り、この時間は寝るための時間だ。 というわけで、今日も棗は俺の部屋へ~。 「もちろんのこと棗は俺の部一一「今日は私と寝るわよね?」 母さんに俺の言葉を遮られた。 というよりも言葉を重ねられた。 「………………。…………こくっ……」 彼女は深い沈黙のあと、……頷いてしまった。 「ちょ、棗! 俺の部一一「だまれ青二才。棗ちゃんはもう私のものなのよ」 更に言葉を遮られた。“私のもの”って……。失礼な、棗は俺のものです。 「棗、いいのか? 母さんの部屋で? 俺の部屋じゃないんだぞ? 」 「…………ちゃれんじ」 彼女特有の萌えボイスで意味深な返答をしてきた。 俺を見つめる一心な瞳、彼女の眼中にはうっすらと炎が見える。 ……まぁあくまで想像なんだが。 まぁ棗が……そういうのであればしかたがない。 ここは彼女を信じよう。 「母さん、くれぐれも棗に手を出さないように。これ、警告」 「了解了解~。分かっていますとも~」 ……今度母さんの部屋に監視カメラ取り付けておこう。 まぁ若干納得のいかない俺だが、しぶしぶ自分の部屋へと向かった。 母さん……俺は信じてるからな。 太陽に比べる月ぐらいに。心の片隅にちっぽけと。  
/558ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4719人が本棚に入れています
本棚に追加