第十一話 運動会と俺

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まぁそんな俺もちゃっかり制服から完全体操着に着替えている。 ほら、まずは気分からよ、うん。 うちの学校の運動会は、まずは運動場に椅子を運んでしまうことから始まる。 ……え? 開会式? そんなの後回し。 いや、俺はそれが当たり前だと思うんだが……。 まぁそんなわけで、いつも座っている教椅子を『よっこらしょ』さながらに抱え、階段だの、廊下だのを進んでいった一一。 人とのすれ違いざまに持っている椅子に当たりそうになるときは本当にヒヤッとする。 あ、まぁ……特に意味はない思考暴露。気にしないでくれ。 さて、そんなすれ違いざまをくぐり抜けてきた俺は、『運動場=校庭=椅子の置場所』に到着。 適当にその辺に椅子を下ろし、これまた適当にその椅子を並べ、ちょいと腰掛ける。 ほら、階段疲れた。俺は元々インドア派の引きこもりだし。 ふははっ、インドア派をなめんなよっ! ……まぁ腰掛けると言ってもほんの30秒程だけど。 足を休めるくらい。 俺はこれまた『よっこらしょ』的に立ち上がり、自分の教室へと戻っていった。 ほら、朝の会とかは教室でやるしー。 椅子がないから正座で背筋伸びぃーんな感じで机に顎乗せるしー。 運動会って特殊だ、朝っぱらから、終わるまで。 まぁここらへんから本格的に俺の運動会が始まったわけだ。 はぁ……棗、早く来ないのかね。一般観覧者、まだ校庭に入ってきちゃ駄目だけどさ。  
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