第十一話 運動会と俺

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「うぃーっす、待たせ一一「はいどーん!!」 教室に入ろうと、横スライド式の扉を開けてずかずかと歩みを進めようとする (ry を、扉付近の男子が全力阻止した。 扉に手を掛け、開こうと指を隙間に入れた瞬間に扉を閉めたってわけ。 ……しかも蹴りで。 目を覆いたくなるような指の挟まれ方に、クラス一同は苦笑、爆笑、その他etc。 俺は爆笑の方だった。 クラスに、延々な曇り空から太陽が覗き出た瞬間だ。(ry というささやかな犠牲のおかげで。 「いっつー! だがしかし! 俺の黄金の左手を舐め一一「再びどーん!!」 挟まれながらも必死に扉を開けようとするその指に、更に強く扉の締め付けを加える。 終いにはその他近隣の男子まで扉の押さえ付けに加わる始末だ。 あ、この際黄金の左手にはツッコミを入れないでおく。 きっと友達は自らの両手だけなんだよ、きっと。 「……ギブ。遅れたこと、謝りますから俺の指を返してください」 しばらくして、いまだに廊下にいると思われる(ry の小声。……泣きそうな小声。 ……生徒が教師を下剋上した瞬間だった。 いや、もともと (ry は作者アビリティに屈した人物だったな。 評価、人間以下だ。道端に生えてる踏まれたタンポポくらいの低評価。 あぁ可哀相に。俺に目を付けられたばっかりにいじられキャラになってしまったとは。 すまんな、横スライド式の扉よ。 (ry というばっちい存在の指をなすりつけてしまって。  
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