第十一話 運動会と俺

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……校長も、自分がお呼びでないとようやく気付いたのか、 数分間運動会に関係のない話を語っていたのをやめ、自分のテント内にそそくさと戻っていった。 校長の長ったらしい話が過ぎたら、後の他の微妙な開会式のプログラムはだいたいはすぐに終わる。 国旗掲揚、国歌斉唱などなど……、他にもすることはあるんだが、この際それはスルー。 次に大事な話といえば、『前生徒会長の話』だ。 ずっと前に話したとおり、今回の運動会は現生徒会は関与していない。 全てが全て『前』の方々の行事だ。 そんな前生徒会会長がたった今から話すらしい。ちょっと耳を傾けてみるか。 「えー、自分達元生徒会執行部は、この運動会の開催中でのみ、復活する。 よって、現生徒会執行部の人は今回あまりたいした仕事はないが、そこは理解していただくと共に、 えー、あー、まぁとりあえず! 今日は存分に熱くなって、楽しんでいってくれ!」 今の生徒会長とは比べものにならないくらいに威厳のある(カリスマ性とでもいうのか?)声で生徒一同に語り出す。 先程の校長の話を全く聞いていなかった生徒一同も、こちらには耳を傾けているらしい。 「一一楽しい時間は、やるまでの経過が楽しいものなんだ。 終わってしまうと、何故か虚しさを感じてしまう。だいたい行事なんてそんなもの。 僕らにも修学旅行など、いろいろな行事があった。過ぎ去ってから分かる有り難み、この僕らにとって運動会をそんなことぐらいで終わらせたくない。 終わってからも楽しめたと思える運動会にしよう!」 ……マジすげぇカリスマ。周りの生徒一同魅了されてるよ、うん。 前生徒会長かっこいいな、おい。 うん、“前”生徒会長。 三年ということもあって、今回の運動会にかける情熱が半端ないな。    
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