第三話 彼女観察な俺

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  いや、キッチン関係だけでなく、洗濯とかも教えたら俺の家事がマジで少なくなるぜ、おい。 俺、遊んでくらせるよな! いや、頭の中には裸エプロン! 裸エプロン!! ……誰かツッコミ役がいないと正直苦しいな、これは。 まぁツッコミ役の相方が欲しいのはさておき、棗の為にも、さっさちゃっちゃと夕食を作っちゃおう。 リビングに戻り、そしてキッチンへと戻り。 さっき買ってきた魚と肉を冷蔵庫から取り出し、とりあえず並べている。 あ、そうだ。 「棗~。ちょっとこっちに来てみ」 「…………こくっ……」 キッチンに歩いてくる棗。トテトテと、足どりはか弱い。もう守ってあげたくなる的なオーラ全開だな。 まぁまずはとりあえず、焼き魚の作り方でも教えてみよう。 一発で覚えることは期待しないけれども。 「これな~んだ?」 俺の手の中には光り輝くお魚。 「………………!!」 尻尾を盛んに揺らし、喜んでいるらしい棗。 マジで生のまま噛り付きそうな感じの目だ。……獲物を得ようとしてる瞳。 「欲し一一「こくっ」 また言葉を遮られた。いや、実際には言葉を発してはないのだが、なんというか……そう、勢いに負けた。 まぁこのまんま生魚で食べさせても、いや、なんかグロいな。 「よーく見てろよ? あ、やり方も覚えてくれな」 「…………こくっ……」 俺は、普通の家庭によくある、コンロの下にある魚焼きグリルにお魚さんをおき、グリル専用のスイッチ(?)を長押しした。 動作といえばこのくらいだな。後は、だいたい火の通り具合がよくなったら取り出すだけ……。 このタイミングはどう教えようか。いいや、だいたい10分くらいで。 「今のは見たな? そしたらえーと…………あ、音がなったらもう一回このボタンを押す」 俺はグリルのタイマーを10分に設定し、とりあえず火加減を見ながらも放置。 棗はというと……なんていうか、うん、目が輝いている。 見た感じそれだけだな。  
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