第三話 彼女観察な俺

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    「あ、待つのが面倒なら先食べてていいぞ~」 「…………こくっ……」 焼くのは意外に長くかかりそうなので、俺は彼女が先に夕食を食べることの許可を出しておく。 ……ハンバーグは、なにかと面倒だな。なんというか、そう、無駄に時間がかかる。手順は簡単なんだけども。 俺的には毎日即席カップ麺でもいいんだけどな……。 俺は目線を棗から手元に戻す。 フライパンに油、その他もろもろ(形作った挽き肉)を二、三個おき、焼けるのを待つ。 リビングの方では、いつのまにか彼女は律儀にテーブルに着いており、焼き魚に小さく噛り付いていると見受ける。 小さく噛り付く……なんか日本語が微妙だな。 それと同時に、棗のご飯がいらないのかが若干心配だ。超少食だな。まぁ俺は白いご飯よりもパン派だから人のことは言えないけど。 料理中、料理中、しばらく……まぁ、うん。 そんなこんなでハンバーグは茶色焦げ色に焼き上がった。皿に盛り付け、残りは明日用という訳でラップで包み、某四次元ポケットという名の冷蔵庫に突っ込む。その動作約9秒。 ベタな付け合わせ、マンネリ化を認めるキャベツの千切りがあるということでもなし。 あるとしたら、炊飯器という名の某四次元引き出しに収まる温か白飯だろう。 夕食には夕食らしく、白いご飯はつけなくては。俺の微妙な日本人故のこだわり。しかしパン派は否定せず。 俺もリビングに向かい、棗の前について、夜(夕時かな)のひと時への時間を迎えた。  
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