第四話 母さんと彼女

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棗…お願いだ。母さんになんとか言ってやってくれ。 いや、まて、明日のことを考えれば…棗はどうすればいい?学校に連れていくことは出来ないし…、これは大問題だ。 「それで…さ。彼女…いろんな理由で学校行かないんだよ」 「あ、そう。それで?別にいいじゃない」 ……へ?何かがおかしい。 母さん、こんなことをすんなり了承しちゃっていいのか? いつもの母さんなら「何故?」とか聞き返してくるはず…。 若干納得出来ない俺だったが一応よしとする。 しばらく沈黙が続き、 母さんは俺の方向から彼女のいるリビングへと顔&体を向けた。 そういえば俺らは立ち話してたな。 母さんは若干しゃがみ込み、棗に話しかける。 「こんなこいつだけどよろしく頼むわね♪」 そして微笑みかける。 「……………こくっ…」 …さっきまで空気と化していた彼女が小さく頷き返す。 どうやら今度は俺が空気になっちゃったよ。 まぁ彼女も、他の人から見ればかなりの無愛想に思えたかも知れない。 でもあれが彼女の返事の仕方なんだ、仕方ない。 というよりも俺、よろしくされる方だったし。俺が棗をゲット…もといお持ち帰りしたんだから…俺に頼めよ! まぁ……いいが。 母さんは手に持っていた薄いコートを肩にかけ、立ち上がった。 「それじゃ、邪魔な私は仕事に帰るわね。多分私は…四、五日は帰ってこないわね。この家を任せたわよ」 あ、いや、まぁ…邪魔ではないんだけどさ…。とにかく、調度いい時に来てくれてありがとうよ。感謝してる。 母さんはまた玄関の方へと歩き出した。…せめて見送るか。金稼いできてくれてるんだ。 …意外に親孝行だろ? 軽く短い家の廊下を歩き、玄関のドアを母さんが開け、閉める時に最後に一言口を開いた。 「ヤる時はやさ「違う!しない!しな――ガチャ!!     …………。」 最後までいい終わらないうちにドアが閉まり終わった。 俺的には―― 「お萩全部食べてね?」 的な奴を期待していたのだが(笑) とにかく…棗がここにいてもよい理由が出来た。 まぁ…よしとするか。  
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