第一話 ネミコンな俺

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さて、禁断の部屋へと足を踏み入れた俺。 普通の人ならビビるであろうこの部屋の中。 天井・周囲の壁には数枚のポスター、そしてベッド横の棚にはフィギュアの数々。数多くの萌えキャラのフィギュアが並んでいる棚だ。 いや、数個は男物のフィギュアはあるが……周りに圧倒されつつある。 そう、俺はヲタクだ。だがヲタクはヲタクでもヲタクを誇りに思っている。 オタクは日本の文化さ、全然悪いことなんかじゃない。 とりあえず座って説明しようか。俺はとりあえずベッドに腰掛けた。 では話を戻そう、 分かるか? 萌えという空間に入っている居心地を。やばいよ、うん。 さて、再び部屋の説明な。 棚の1番目立つところ、1番上の段には我らがネコミミの女の子のフィギュアがどどーんと置いてあるわけだ。 そう、俺はネミコン。ロリコンと同じ、ネコミミコンプレックスだ。 ネコミミ、それは萌え。 ネコミミ、それは夢と希望。 ネコミミ、それは俺を動かすエネルギーの源。 ネミコンにあらずんば人にあらず。 平〇盛の残した言葉かも知れない(本当は違うけど)。 ネミコン=俺、俺=ネミコンなんだよ。そうさネコミミ万歳! ネミコン万歳! ネミコンよ、永遠であれ。 ネミコンよ、大志を抱け。 ……はぁ。 俺の口から溜め息が一つこぼれる。 大丈夫、俺はちゃんと理解している。ネコミミの生えた人間(獣人?)なんて実際には存在しないことを。 そんなことは俺だって分かっている。だけど捨てられない、この概念を。 理想と現実。オタクはそういうものを捨て切れないのかもしれない。 画面の中、所詮『縦×横』の世界。 そんな世界に恋をしている、離れられないこの穿かなき夢。 理想と現実。このつまらない世界、現実。 つまらない、つまらない……。 毎日が同じ繰り返し。ほとんど同じ一日を俺は過ごしている。 どうか神様、俺の日常に変化を、変化を与えてください。 どうか、どうか……。 ……はぁ。 やっぱり溜め息が零れる。仕方ないさ、出て来るんだもん。 ……ま、今日はそこらへんにしておこう。 うん、俺は今眠い。 夜はもう遅い。 俺はベッドに仰向け大の字に横たわる。 ふう、“どうせ”明日もつまらない一日だろう……でも、 どうか  明日は違う   一日だと信じて……  
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