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「……棗」
「……………………?」
彼女は若干顔を上げ、こちらを向く。
「俺は今から夕方までここに帰ってこれないんだ。お留守番頼めるか?」
超短縮、超簡単明細ってところだ。
「……………こくっ…」
意味を理解して頷いてるのかは分からないが、とりあえず納得した俺。
「それと、お昼になったら今食べてるやつを作るんだからな?」
「……………こくっ…」
とりあえず今日だけで二回は片付けた食パンと苺ジャムを、今彼女が座っている目の前に置いた。
これで食への心配はなくなったわけだ。心名残惜しいが学校に行ける。
あ、それともう一つ、
「…今日は俺が帰ってくるまでお散歩は無しにしてくれな?」
「…………………………………………こくっ…」
かなりの無言な時間があったが、一応小さく頷いた。俺にはそれだけで充分だ。
……はぁ~……もう時間だ。そろそろ行かなくては。
マジで名残惜しい。何故中学生は中学校に行かねばならんのだ!
棗と一緒にいたいのにぃ……。
棗も学校、通えないのかな………無理か。
「それじゃ…行ってきますよ」
いつもは一人で行ってきますを言ってるのだが、今日は聞いていてくれる人がいる。
それだけで微笑ましいものだ。
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