第五話 学校と俺

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「……棗」 「……………………?」 彼女は若干顔を上げ、こちらを向く。 「俺は今から夕方までここに帰ってこれないんだ。お留守番頼めるか?」 超短縮、超簡単明細ってところだ。 「……………こくっ…」 意味を理解して頷いてるのかは分からないが、とりあえず納得した俺。 「それと、お昼になったら今食べてるやつを作るんだからな?」 「……………こくっ…」 とりあえず今日だけで二回は片付けた食パンと苺ジャムを、今彼女が座っている目の前に置いた。 これで食への心配はなくなったわけだ。心名残惜しいが学校に行ける。 あ、それともう一つ、 「…今日は俺が帰ってくるまでお散歩は無しにしてくれな?」 「…………………………………………こくっ…」 かなりの無言な時間があったが、一応小さく頷いた。俺にはそれだけで充分だ。 ……はぁ~……もう時間だ。そろそろ行かなくては。 マジで名残惜しい。何故中学生は中学校に行かねばならんのだ! 棗と一緒にいたいのにぃ……。 棗も学校、通えないのかな………無理か。 「それじゃ…行ってきますよ」 いつもは一人で行ってきますを言ってるのだが、今日は聞いていてくれる人がいる。 それだけで微笑ましいものだ。  
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