第二話 猫耳な彼女

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家から数十メートルにある公園のそばの道、ふと俺は公園の方を覗く。 朝早くのわけか、お子様たちは誰もいなかった。 しかしたった一人、俺よりか15センチ程背の低い『女の子』が立っていた。 その彼女の手に持っているもの、それは、一本の包丁。 そして……、何故か猫耳、尻尾。 もちろんネミコンの俺が反応しない訳がない。むしろうっほぉッ! な感じになっている。 現実に獣人なんて存在しない。付け耳かなんかだろう。 ただ……、包丁。絶対おかしい。俺の直感では絶対にいけないことになりそうな予感がする。 俺の首筋にいやな汗が流れる。 ……だがしかし、俺は彼女のもとに歩みを進めた。 ネミコンだから猫耳に興味があるのさ! 俺は彼女の元へと走っていった。 「……え~、そこの君、止まりなさい」 俺よ、どこぞの警察官だよ。これじゃ俺が不審者みたいだ。 てかもともと彼女は立ち止まってるし。 「……それより……先に……。……刺す」 彼女は静かにそう答えた。 彼女の目が、色あせて見える。輝きがない……とでもいうのか? 「まぁまぁ、どうした? そんな物騒なもん持って。ネコミミの君?」 「……ネコミミ……いうな」 彼女は、刃先をこちらに向け、静かに向かってくる。 逃げれるなんて出来るはずがない。 ましてやCQCとかの近接戦闘術なんかも持ち合わせてはいないし。 恐怖感。足が動かない。 そして感じる鈍い痛み。 ……痛いなんてもんじゃない。手の平を浅くだが、包丁が俺の手の平をなぞる。血がだらだらと……うん。 「………………。」 ガシャン、と血のついた包丁が地面に落ち、危うく今度は自分の足を刺すところだったさ。 「……なぜ……平気」 彼女はその場にしゃがみ込み、血のついた包丁を再び掴んだ。 「ははっ平気? これを見て平気だと思うのか? 困ったネコミミな彼女?」 かな~りやばい。 犯罪について~は、ここは紳士だ。ジェントルマンだ。 ……中学生が何をいう。 「……ネコミミ……いうな。…………。」 急に黙り込んだ彼女。 「まぁまぁ、とりあえず俺ん家にきなよ。話はそれからだ」 ふぅ……痛いの痛いのとんでけ~♪ 痛いのは俺か。この状況で頭が変になりかけて……いや、もともとです。 「…………こくっ……」 さて、彼女は小さく頷いた。 ……ふっふっふ、ネコミミの女の子お持ち帰り!!  
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