第六話 買い物と彼女

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  家の裏…、そこには俺の自転車がある。一応俺だって乗れるさ、中学生だもん。 ……通学には利用していないけどな。 だってうちの学校、自転車通学禁止だもん。 ……さらに、乗ろうと思えば乗れるんだが…あんまり上手くないんだなこれが…。 二人乗りなんて初めてだし…。 まぁでも…かなりの時間短縮になるから今日は使わせてもらう。 実のところ…歩きで行きたいんだが…歩きで行ったら夜が更けてしまう。 とにかくようは善は急げだ。急いだ分、服を見る時間が増えるってもんだ。 俺は自転車を家の前まで引いてくると、とりあえず…うん、後ろに棗を乗せてゆっくりと進み出した。 いや、正確には足をつけて進んでいるだけなんだけど。 …だって怖いもん。 よし、ここは一つ、 「…しっかりとつかまっててくれな?飛ばすぜ」 人生で一度は言ってみたい言葉だ。まぁ多分言う時は来ないと思うが。 ……あ、ネタを取りにいってるときは別で。 とにかく、俺の乗る自転車はゆらゆらと前進し始めた。 ……初速つけちまえば後は楽なんだよ!! ……その肝心な初速がつかないのは別として。 まぁ十数メートルくらい助走をつけると、勝手に自転車は前に進もうとする。 あとはとりあえず足を動かして止まらないようにするだけだ。 ヘルメット?なにそれ、食べれるの?  
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