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流木が目の前を通過する。理沙の視界に勝手に入り込み、やがて消える。互いを意識することはない。ただ、理沙は意図的にその流木を無視した。 川は流れ続けている。それはまさに不変のものであり、理沙が毎朝この川岸へ足を運ぶことと同じだ。川は日々表情を変える。今日のような濁流の日もあれば、落ち着いて太陽の光を受け、輝いている日もある。大枠は不変でも、少しずつ毎日は違うのだ。 その小さな差異を知っていることを理沙はひそかに誇りに思っている。しかしそれを誰に話すわけではない。話すことでその価値が薄れ、あるいは喪失してしまう気がする。
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